2011年10月2日日曜日

『本格派のための「英文解釈」道場』の私的訳 その2

第二番 八面六臂の活躍のthat

国は法を法自体のために維持しようとするのではなく、国民一人ひとりの生活のために維持しているのだ。国民はみな幸せになることを望んでいる。それには幸せが確保される環境が必要である。そして国民はその環境が守られるかどうかで国の力を見極めなくてはならない。十分明らかなことだが、幸せが得られる環境というものがわたしたちの力の及ばないものであるというわかりきった理由から、国は国民皆に遍く幸福というものを保障できない。ある人は心に決めた女性がいなければ生きる価値などないと感じてしまうかもしれない。しかし、誰もその人は国からその女性の愛を保障される権利があるとは議論しないだろう。それでもわたしたちが少なくともいえることは、全ての民を同じように幸せにすることができる一定の環境があるということで、そしてその幸せの環境は満足いく社会生活の最低限の基盤となる。国民が国の法に継続して従うのであれば、これが国が民に保障しなければならないものである。

法というのは言い換えるならば、国が国そのものに対して敷く無言の申し立てである。国ができることには限界があり、それは目に見えているものだから。そしてその限界が守られるために、その限界というものは国に対する民の権利をも含んでいる。権利という概念は何を意味するのだろう。権利というのは歴史的経験の功績の中で、個々人が幸せをつかむことができるという確証を得られる環境のことである。個々人の権利が一定であると、わたしたちは言い切ることができない。権利というのは時と場所によって明らかに変化するものだからだ。しかし変化するものであるとはいっても、個人は国の命令に従っているので、国から一国民として認識されることを期待してもよいだろう。


英語を訳すのって、日本語の語彙も知らないと難しいです。

2011年9月17日土曜日

『本格派のための「英文解釈」道場』の私的訳 その1

『本格派のための「英文解釈」道場』 筒井正明 大修館書店 2010


今この本を使って英文解釈の勉強をしています。
これはゼミの先生に「英文を読むのに苦労する。単純な文構造ならともかく、複雑な構造を持つ文が苦手で、アカデミックな文を読んでいてわからないことがしばしばある。」ということを相談したときに薦めてくれた本です。

いや、正直英語教育を専攻していながら、英文読むのが苦手ってどうなの、と思うかもしれませんが、文法の学習を怠った者としては、本当に悩みの種です。しかしこれがないと英語学習者としての成長が止まるのではないかと思って、再学習を決心したんです。英会話さえできれば満足というわけではないので、しっかり勉強したいですね。

それでまだこの本を使っての学習は浅いんですが、この本はなかなか読みごたえのある文章が多いと思います(ぼくの英語力が低すぎて、読みごたえがあるだけなのかな)。解説も丁寧なので、わからないところがあっても、たいてい助けてくれます。文の構造をしっかりと捉え、ちゃんと理解しながら英文読みたい、という人にはお薦めできるかな。
文法書ならNext Stageとかも持ってますけど、もうあれを使って勉強する時期はすぎたかなって思いますね。あれは文法事項の大量インプットが必要な時期にやるものかなって個人的には感じてます。

というわけで、まったくぼく個人のためでしかないのですが、読んだ英文を自分なりに訳して、ここに残しておこうかなと思います。本当はぼくの訳に加え、英文と模範訳も載せたいのですが、さすがにそれは著作権に触れるのかなって思うので、ぼくの訳だけ残します。それはさすがに問題ないでしょう。


ここから先はぼくのへなちょこな訳が載ってるだけですし、自分の学習のために書いたものなので、読んでも意味がないかもしれませんね(笑)



第一番 接続詞
友情は理屈を超えたものである。それゆえ友人の中に徳を見出すのだが、そんなもの(徳)を見出す以前からその人は友人だといえる。友情はわたしたちが提供すべくして提供する贈り物のようなものである。友情を徳の報酬として与えるというのは、友情に値段をつけるようなもので、そんなことをする人々は友情を与えることができない。自分が徳のある人間であるという意識や、徳のある仲間がほしいという気持ちの下で友人を選んでいるとしたら、友人を商業的な理由で選んでいるよりも、ずっと真の友情からは遠い。それ以前に、諸君が一体何者であれば友情に価値づけできようというのか。どんな人にも友人を作ることができる神秘的な力を持っているということだけで十分で、あとはそのおもむくままにして友人を作ればいいのである。だから徳のある人々を友人にしようとしても、その人たちがあなたを友人と選ばないかもしれない。友情とは実に、打算的な友情選択の前には起こりえないのである。それはまるで眠りのように、考えてもみないときに訪れるのである。友情を感じたときには感謝すべきである。

だから友情が何たるかわかっている人は、友人の評判が悪くなったからといって友人を見捨てるようなことはしない。友人をやめるたった一つの理由があるとすれば、それは労わることをやめたときだろう。そしてそうなることがあれば、友人が価値を失くしたことではなく、自分の愛情の欠乏を責めるべきである。それは女性に関しても言えることで、女性に恋に落ちたときに彼女には価値がないと思うようなもので、非人間的な想像である。本来友情と恋愛においてわれわれはいつも控えめである。それは無償の贈り物が天からわれわれに授けられるから。友情や愛を失うことでその控えめさを失くすといことは、恥ずべきものに固執しているということなのである。



訳の練習を重ねるうちに、自分の成長が見えてくるといいな。

2011年9月15日木曜日

東京の印象と感想

久々の更新ですね。今回は随想というより、雑記です。

先日友人と横浜・東京に行ってきました。目的が慶応大学で行なわれた学習英文法シンポジウム参加のためだったので、旅行と言えるほどのものでもなかったですが、一応感じたことを残しておこうかと思って。


旅行初日、広島から新幹線に乗って新横浜に向かいました。新幹線もあまり長時間乗ると苦痛かな。広島~鹿児島中央の2時間30分は耐えられるけど、広島~新横浜の4時間はあまりに耐え難かったです。できれば東京まで新幹線で行くというのは、もう嫌かなって思います。

苦痛に感じた理由は複数あります。
一つめに人の多さ。広島駅では人がほとんどおらず、「平日の新幹線って空いてるんだ。楽だな。」って思っていたら、姫路や新神戸の辺りから人がぞろぞろ。新大阪・京都・名古屋で人数がピークでした。窓際に座っていたから、トイレにも気軽に行けない。あれは隣に人がいるから、ゆっくりと座れなくて大変でした。
二つめに風景かな。風景がひっきりなしに変わるんです。田舎を走っていたと思ったら、トンネルに入って、街が見えてきて。風景が変わっていく様子は大好きなんですけど、あんなに早く変わると、全然おもしろくないし、風情がないかなって思います。あと目が回ってしまうから、疲れてしまうし。そう考えると時間はかかるけど、ドライブでの旅とか電車の旅はすばらしいと思いますよ。一つの国の中で風景や雰囲気があんなに変わっていくのを感じるのは、本当に心がうきうきしてくるから。

友人と名古屋で合流し、新横浜で降りました。ホテルに向かうため、新横浜から横浜へ向かいました。初めて横浜行ったんですけど、線が多すぎて探すだけで疲れました。線が多いと移動には便利だけど、乗り換えが面倒ですね。それに比べて広島は単純なのでわかりやすいです。なにはともあれ、友人の助けがあり、なんとか横浜に到着。しかしそこで気づくのです。ホテルがあるのは新横浜の方だと。戻らなくちゃいけない。そしてそれに気がついたのは、横浜で改札を通る前。これなら払い戻ししてもらえるかもと期待しましたが、むしろ新横浜~横浜間の料金をもう一度支払うはめに。都会はなんて融通が効かないだと感じました。

そしてすぐに鹿児島・広島に帰りたくなりました。これにも理由があるので書いておきます。
まず都会の冷たさの洗礼を受けたことでしょうね。新横浜~横浜間の金額を二重に取られたこと。田舎ならたいてい通してくれるんですけど。駅員の態度もどことなく冷たい。

次に街の雑踏と圧迫感だと思います。高くて大きくてビルがたくさん並んだ風景。あんなものにずっと囲まれて暮らしたり、あの間を歩いていると気疲れします。高くそびえたビルが襲いかかってくるように感じたのかな。そして、人がひたすらたくさんいる。しかもあれだけ人がいるのに、ぼくのことを知っている人や、気にかけてくれる人はいないという感覚。ぎすぎすしていて、心落ち着くことがありませんでした。

そしてあの雑多な感じ。そしてアパートや家、ビルがぎっしりと立てられていている。人がたくさん住めるように、とりあえずどんどん建物を建てましたという無造作な感じ。耐えられませんでした。

もう一つ。新横浜に着いた時間もいけなかった。夕方で日が沈み始めていて、街は寂しい雰囲気。電車の中の人々に何か寂しいものを感じ取らずにはいられませんでした。ぼくがその人たちの何を知っているかと言われたら、「何も。何も知らないよ。」としか言えないのですが、人々を見るのがつらかったです。週末だったから、実際みんな疲れていたかもしれないですし。

そういう印象を初日から強く受けたせいか、次の日の朝には東京滞在が憂鬱でしかなかったです。


楽しいこともありましたよ。それは人々の思いを想像すること。あれだけたくさんの人たちが住んでいるんですから、みんなそれぞれに思いを持って生きているんだろうなって感じます。どんな思いで生きているのか、そこにいるのかって想像するのはとてもおもしろいことだと思います。特に名前も何も知らない人たちの思いを想像するのはおもしろいですよ。
楽しいのはそれだけだったかな。
あとは友人とゆっくり話す時間ができたことくらい。


ただ滞在がとても短かったのも事実です。東京の魅力を見つけられなかったのは残念でした。東京には必ず何か人を魅了するものがあるに違いないと思います。どんな場所も何かしらの形で人の心を惹きつけたり、何かを感じさせてくれると信じています。また東京にリベンジしたいと思います。次は東京の魅力と、旅の楽しさを感じるために訪れたいと思います。

2011年7月11日月曜日

学習指導要領の変遷

ざっくりまとめようと思います。

戦後のカリキュラムの系譜
昭和20代: 経験カリキュラム
昭和30~40年代: 学問中心カリキュラム
昭和50年代~現在: 人間中心カリキュラム

平成20年・21年度告示 小学校及び中学校学習指導要領の改訂のポイント
1 改訂版における基本的な考え方

1-1 教育の理念を踏まえ「生きる力」を育成
・「知識基盤社会」で重要になる「生きる力」という理念を継承。「生きる力」を支える「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」の調和を重視。
・公共の精神、伝統・文化の尊重を踏まえ、伝統・文化の教育や道徳教育、体験活動等を充実。

1-2 知識・技能の習得、思考力・判断力・表現力の育成
・各教科で、基礎基本を習得したうえで、観察・実験やレポート、論述など知識・技能を活用する活動を充実し、思考力・判断力・表現力等を育成。
・基盤になる言語能力について、国語の時間のみならず育成を行なう。
・国語、社会、算数・数学、理科、外国語等の授業時数を増加。
・キャリア教育を通じ、学習習慣を確立する。

1-3 道徳や体育を充実、豊かな心と健やかな体を育成。
・体験活動を活用し、道徳教育や体力向上についての指導、安全教育や食育などの充実し、豊かな心と健やかな体を育成する。

2 教科内容の主な改善
2-1 言語活動の充実
・言語は、知的活動やコミュニケーション、感性・情緒の基盤。
・国語で基本的な力を養い、それを各教科において説明、論述、討論といった活動につなげる。

2-2 理数教育の充実
・理数教育は科学技術の土台。国際的な通用性、内容の系統性、小・中学校の円滑な接続を踏まえた指導内容を充実。

2-3 伝統や文化に関する教育の充実
・各教科において、我が国の伝統や文化を受け止め、それを継承・発展させるための教育の充実。
・具体例: 国語科での古典、社会科での歴史学習、音楽家での唱歌・和楽器、美術科での我が国の美術文化、保健体育での武道など。

2-4 道徳教育の充実
・道徳教育は、道徳の時間を要として教育活動全体を通じて行なう。
・発達段階に応じて指導内容を重点化、体験活動の推進。
・道徳教育推進教師を中心に、全教師が協力して道徳教育を展開する。
・先人の生き方、自然、伝統と文化、スポーツなど、児童生徒が感動を覚える教材の活用。

2-5 体験活動の充実
・子どもたちの社会性と豊かな人間性の育成のため、発達段階に応じて、集団宿泊や自然体験、職場体験を重点的に推進する。

2-6 外国語活動の充実
・積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成し、言語・文化に対する理解を深めるために、小学校高学年に外国語活動を導入。
・中学校においては、語彙数の充実と、聞・話・読・書を総合的に行なう活動を充実する。

2011年7月7日木曜日

鹿児島県 平成23年度教育行政の施策概要

平成23年度の施策概要
重点施策の概要
I 規範意識を養い、豊かな心と健やかな体をはぐくむ教育の推進

道徳教育の充実(義務教育課、高校教育課、社会教育課)
「人間尊重の精神」「生命に対する畏敬の念」などに加え、「伝統と文化の尊重」、「我が国と郷土への愛と、他国への尊重」、「公共の精神」についての取り組みを推進します。
児童生徒の実態と、発達段階に応じた教育活動全体での道徳教育の充実を図り、教職員の指導力向上、家庭・地域・企業との連携を強め、児童生徒の道徳性を高める高める取り組みを社会全体で進める。

主な取り組み、以下新しい試みは(新)とする
a. 道徳教育総合支援事業(新)
 ・心の教育支援会議
 ・郷土教育読み物教材の活用
 ・「心のノート」の活用
b. 郷土教育読み物教材の開発
c. 初任者研修事業
d. 現職職員等研修事業
 ・教職経験者研修(5年経験者、10年経験者)
e. 県総合教育センター研修(短期)
 ・道徳など
f. みんなで支える家庭教育推進(新)
 ・家庭教育相談員の養成研修
 ・家庭教育学級への支援及び企業の理解促進
g. 青少年の自然体験活動

生徒指導の充実(義務教育課、高校教育課、社会教育課)
「いじめは許されない」という絶対の認識の下に、すべての児童生徒が「学校はいじめ問題に対して真剣に考え、わたしたちを守ってくれる」ということを実感できるようにする。いじめについての授業をするとともに、不登校や問題行動に対する教育相談・支援体制の整備を行ない、学校・家庭・地域社会で一丸となって、いじめ問題解決に取り組む。

主な取り組み
a. スクールカウンセラーの配置
b. スクールソーシャルワーカー活用(新)
c. いじめ問題等相談員派遣
d. 子どものサポート体制整備
e. かごしま教育ホットライン24
f. 家庭用「いじめ対策リーフレット」配布
g. 「いじめ問題を考える週間」の取り組み
h. 心をひらく生徒指導力向上事業
i. 高校不登校生等対策
j. みんなで支える家庭教育推進(新)、上記「道徳指導の充実」に同じ

人権教育の充実(人権同和教育課、社会教育課)
学校・家庭・地域等において同和教育をはじめとする人権教育の充実を図る。

主な取り組み
a. 人権教育研修
b. 人権教育推進
c. 人権教育開発(新)
d. 人権教育啓発

子ども読書活動の推進(社会教育課、義務教育課、高校教育課)
「鹿児島県子ども読書活動推進計画」に基づき、子どもの読書を推進する社会的気運の醸成、「子ども読書の日(4/23)」を中心とした取り組み、児童生徒の読書習慣確立を目指した「朝読書」の促進など、社会全体で取り組む。

主な取り組み
a. 読書活動推進員養成講座
 ・読書活動に関する理解・技能のスキルアップ
b. 「子どもの読書活動推進」支援事業
 ・図書館、学校等への講師派遣

食育の推進(保健体育課、義務教育課、高校教育課、社会教育課、学校施設課、教職員課)
「かごしまの食推進交流計画」に沿って、学校・家庭・地域が連携して、食に関する自己管理能力の育成するための取り組みを推進する。

主な取り組み
a. 学校給食指導
 ・学校給食衛生管理等研修
 ・国の委託事業指定地域の指導
 ・学校給食優良学校の表彰
b. 鹿児島をまるごと味わう学校給食
c. 栄養教諭の配置
d. 家庭や地域へ望ましい食習慣に関する知識の普及、情報の提供

体力・運動能力の向上(保健体育課、義務教育課)
仲間や自然とかかわる活動を推進し、基礎的な体力の向上、協調性や冒険心、粘り強さなどを培い、心豊かでたくましい身体をもった児童生徒の育成に努める。また運動部活動の指導者養成、中・高校生の競技力向上を図るため、優れた指導者を派遣し、地域スポーツ人材を活用する。

主な取り組み
a. 「たくましい鹿児島っ子」育成推進(新)
心豊かでたくましい体を持った児童生徒育成のための学校・家庭・地域が連携した取り組みを推進
 ・体力向上推進委員会設置
 ・推進校の指定
 ・「チャレンジ鹿児島」の精神
 ・体力向上推進フォーラムの開催
b. 地域スポーツ人材の活用実践支援事業
 ・小・中学校の授業、中・高等学校の運動部活動への外部指導者派遣
 ・地域スポーツ人材活用推進委員会の設置
c. 運動部活動競技力向上支援事業
 ・中、高等学校運動部活動指導者の支援
d. 中学校武道等地域連携推進事業
 ・地域連携推進協力者会議の開催
 ・地域連携実践校における実践
 ・中学校武道、ダンス指導者研修会の開催
e. 県総合教育センター研修

健康教育の充実(保健体育課、義務教育課)
多様化する健康問題に対応し、児童生徒が健康増進に必要な知識、能力、態度を身につけることにより、生涯にわたって健康に過ごすことができるように努める。

主な取り組み
a. 学校保健推進授業
 ・学校保健優良学校表彰
 ・学校保健委員会、学校医、学校歯科医、学校薬剤師との連携による学校保健指導
b. 県総合教育センター研修

2011年7月5日火曜日

教育時事の重要事項のまとめ

今日は『2012年度版鹿児島県の教職教養』のある項目をまとめます。
少し長いですが、挑戦。

1 教育課程(カリキュラム)の改革
「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」

1-1 「生きる力」という理念の共有
「生きる力」という目標を関係者で共有するにあたっては、特に次の3点を重視する。
 第一は、変化が激しく、未知の課題に試行錯誤しながらも対応することが求められる複雑で難しい時代を担う子どもたちにとって、将来の職業や生活を重視して、社会において自立的に生きるための力が「生きる力」だということ。
<中略>
 第二は、我が国の子どもたちの課題ともなっている思考力・判断力・表現力等をはぐくむには、各教科において基礎的・基本的な知識・技能をしっかりと習得させるとともに、観察・実験やレポートの作成、論述といった知識・技能を活用する学習活動を行なうこと。
<中略>
 第三は、自分に自信がもてず、自らの将来や人間関係に不安を抱えているといった子どもたちの現状を踏まえると、コミュニケーションや感性・情緒、知識活動の基盤である国語をはじめとした言語の能力の重視を図ること。また加えて体験活動の充実を図ることにより、他者・社会、自然・環境との関わりの中で、生きる自分に自信を持たせることが必要である。

1-2 小学校段階の外国語活動
小学校段階にふさわしい国際理解やコミュニケーション等活動を通じて、コミュニケーションへの積極的な態度を育成するとともに、言葉への自覚を促し、幅広い言語に関する能力や国際感覚の基盤を培うことを目的とするのが、小学校段階の外国語活動である。
現在、この活動については各学校で取り組みへの相当なばらつきがある。教育の機会均等や中学校への円滑な接続という観点から、国として各学校に共通の指導内容を示すことが必要になる。そこで総合的な時間とは別にして、高学年において年間35単位時間、週1コマ相当の一定時間を確保することとする。

2 学力向上
まずPISAとTIMSSとは何であるかおさらいする。

PISA (Programme for International Student Assessment)
OECDが行なっている国際的な生徒の学習到達度調査

TIMSS (Trends in International Mathematics and Science Study)
IEA(国際教育到達度評価学会)が行なっている国際数学・理科教育動向調査

「平成21年度 文部科学白書 (第2部、第2章)」
2-1 平成20年度調査の結果
 ・教科に関する調査結果
 全体としてみれば、19年度よりもやや難しい内容であったため、各教科の正答率は低い。しかし、小学校・中学校調査において、過去との同一問題の正答率が高いという点を考慮すると、昨年度より学力が低下しているとは思えない。

(i)知識に関する問題の結果
 小学校の国語A、中学校の数学Aにおいて、一部課題あり。
 また、小学校の算数A、中学校の国語Aに関しては、基礎・基本となる知識・技能をさらに身につけさせることが必要である。

(ii)活用に関する問題の結果
 小・中学校の国語A、算数・数学Bに関しては、知識・技能を活用する力に課題あり。

 ・児童生徒質問紙の結果
 算数・数学が好きな小中学生の割合は増加傾向にある。国語の勉強が好きな小学生、一日30分以上読書する小学生の割合はやや減少。学習に対する関心・意欲・態度、学習時間・読書、基本的生活習慣、自尊意識・規範意識などについて肯定的な回答をした小中学生ほど、正答率が高い傾向にある。
 また携帯電話やメールをほぼ毎日している小学生の割合はやや増加している。

 ・学校質問紙調査の結果
 (生徒たちが)熱意をもって勉強している、授業中の私語が少なく落ち着いている、考えを引き出したり思考を深めたりする指導をしている、学習規律の維持を徹底しているといった回答をしている学校の生徒の正答率の方が高い傾向にある。
 また小学校の約97%、中学校の約95%が19年度調査の結果を活用している。

 ・TIMSS 2007
 今回の調査での我が国の児童生徒の平均得点は、統計上の誤差を含め前回2003年調査と同程度であるが、小中学校の算数・数学、理科において前回以上の得点となっている。順位も、参加国が増える中、国際的に上位を維持している。これらのことから、前回指摘された学力低下には歯止めがかかったと思われる。
 その一方で、「勉強は楽しいと思う」子どもの割合が特に中学校で低いこと、「テレビやビデオを見る」時間は長く、「家の手伝いをする」時間が短いなど、学ぶ意欲や学習習慣に関しては、依然として課題が残る。

3 心の育成、問題行動への対応
「学校における携帯電話の取り扱いについて」
 
3-1 小学校及び中学校
 ・携帯電話は、学校での教育活動に直接必要なものではないので、小中学校においては、児童生徒の携帯電話の持ち込みについては、原則禁止である。
  ・緊急の連絡手段など、やむを得ない事情も想定され、保護者から学校長に対し、携帯電話の持ち込み許可を申請することも考えられる。このような場合、校内での使用禁止、登校後学校側が預かり下校前に返却するなど、学校の教育活動に支障のないように配慮する。

3-2 高等学校
 ・携帯電話は、学校の教育活動に直接関係のあるものではない。よって授業中の携帯電話の使用を禁止したり、学校内での携帯電話使用は一律禁止などの制限をするべきである。
 ・そもそも持ちこみを禁止することも考えられる。

4 心の育成、問題行動への対応
「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について」
・生徒指導の充実について
 ・学校の日常的な生活において、児童生徒の一人一人を把握、性向について理解を深め、信頼関係を築き、すべての教育活動を通じてきめ細やかな指導を行なう。全教職員が一丸となり、積極的に教育相談やカウンセリングを行なう。

 ・校内において傷害事件などの犯罪が起こる可能性のある際には、警察の協力も得る。

・懲戒、体罰について
 ・教員は、必要があると思われる際は児童生徒に懲戒を与えることができ、その懲戒を通じて児童生徒の規範意識の育成を期待する。ただし懲戒が安易な判断によって行なわれることのないようにする。また日頃からの信頼関係づくりも重要である。

 ・体罰であるかないか機械的な判断は難しく、場合によっては指導へ対して萎縮してしまうこともある。ただし教員はいかなる場合においても、身体に対する侵害、肉体的苦痛を与える懲戒である体罰を行なってはならない。体罰による正常な倫理観育成は期待できず、むしろ児童生徒の力による解決の志向を助長し、いじめ・暴力行為などの土壌を生む可能性があるからである。

5 学校評価
「学校評価のあり方と今後の推進方策について」
学校評価には次の3つの実施手法がある。

自己評価
目的:学校の教職員が設定した自らの達成状況や達成に向けた取り組み状況などを評価する。これにより、学校の現状と課題把握、今後の改善に活用することを目的とした、学校評価の最も基本的かつ重要なものである。

手法:校長の下、予め設定した具体的かつ明確な目標に全教職員が参加し、達成状況の確認や取り組みの適切さを評価する。

学校関係者評価(外部評価)
目的:学校の教職員以外で学校と密接な関係にある者が、上記自己評価の結果を評価することを通じて、学校と保護者で課題について共通理解を持ち、改善を目指していくもの。

手法:外部評価者に構成された委員会が、学校の教育活動の観察や意見交換を通じて評価する。

第三者評価
目的:学校と直接かかわりを持たない、大学や教育機関の職員、有識者からの評価を行うことで、自己評価・学校関係者評価では不足する部分を補い、学校運営の改善を促すことを目的とする。

手法:自己評価・学校関係者評価の結果等を資料として活用し、専門的・客観的立場から評価を行なう。

6 教員の専門性の向上
「今後の教員養成、免許制度のあり方について」
・教員に求められる資質能力
 ・いつの時代にも求められる資質能力
  教育者としての使命感、人間の成長・発達についての理解、幼児・児童・生徒に対する  教育的愛情、教科の専門知識、広い教養、そしてこれらを基盤とした実践的指導力。

 ・今後特に求められる資質能力
  地球的視野に立った行動、変化の時代を生き抜く社会人としての能力、教員の職務から  求められる能力。

 ・得意分野を持つ個性豊かな教員
  画一的な教員像を求めることは避け、生涯にわたり資質能力の向上を図るという前提のもと、全教員に求められる能力を確保し、積極的に得意分野づくりや個性の伸長を図ることが大切である。

7 キャリア教育の推進
「小・中・高等学校 キャリア教育推進の手引き 児童生徒一人一人の勤労観、職業観を育てるために」

7-1 キャリア発達とは
発達は生涯にわたる変化の過程で、人が環境に適応する能力を獲得していく過程である。その中でキャリア発達とは、自己の知的、身体的、情緒的、社会的な特徴を一人一人の生き方として統合していく過程である。
具体的には過去・現在・未来の自分を考え、社会の中で果たす役割や生き方を展望し、実現すること。
<中略>
一人一人のキャリア発達は知的・社会的発達とともに促される。そのため、まず一人一人の資質能力や態度は、段階を追って育成されるということを知っておかなければならない。児童生徒が将来必要としている資質能力や態度は、次の四つの能力とされている。それらは「人間関係形成能力」、「情報活用能力」、「意思決定能力、「将来設計能力」の四つのことで、児童生徒が成長の各時期において身につけることを期待されている能力、態度である。

7-2 キャリア教育の推進
学校の教育活動全体での取り組み
キャリア発達には、児童生徒のすべての教育活動が影響するため、キャリア教育は、学校すべての教育活動を通して推進されなければならない。これまでの進路指導中心の学校の取り組みでは、発達課題の達成に関する意識や観点が薄く、実践を通した指導方法の蓄積が少なかったりしたことなどから、取り組みの脈絡や関連性が乏しかった。その結果活動を寄せ集めたにすぎず、生徒の資質能力や態度の向上に結びついていなかった。こうした課題を克服するためには、教育課程の改善が不可欠である。
例えば、各教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間などの取り組みが、児童生徒のキャリア発達のために有機的に関連づけられているだろうか。また、具体的に活動計画が立てられ、全体で体系的な取り組みができているかどうか。あるいは、高等学校の各学科の類型やコースが、各学校の生徒のニーズに応じたものになっているか、など各学校で点検し見直す事柄もあると考えられる。

8 特別支援教育の進展
「特別支援教育を推進するための制度の在り方について」

8-1 特別支援教育の理念と基本的な考え方
これまでの「特殊教育」では、障害の種類や程度に応じて盲・聾・養護学校や特殊学級といった特別な場で、手厚くきめ細かい指導や教育を行なうことに重点を置いてきた。
「特別支援教育」とは、障害のある幼児児童生徒が自立し、社会参加できるように主体的な取り組みをする支援である。また現在、小・中学校において通常の学級に所属するLD・ADHD・高機能自閉症等の児童生徒への指導と対応が緊急の課題となっており、「特別支援教育」においては、このような児童生徒に対しても適切な指導と支援を行なう。
<中略>
このことは、従来の特殊教育が果たしてきた役割・実績というものを否定するのではなく、継承・発展させていこうというものである。

8-2 特別支援教育に関する法改正
学校教育法施行規則
第140条
小学校若しくは中学校又は中等教育学校の前期課程において、次のいずれかに該当する児童生徒で特別の措置が必要のある者を教育する際、特別の教育課程を講ずることができる。
一 言語障害者 二 自閉症者 三 情緒障害者 四 弱視者 五 難聴者 六 学習障害者
七 注意欠陥多動性障害者 八 その他の障害がある者で、特別の教育課程を必要とするもの

学校教育法
第72条
特別支援学校は、幼稚園、小学校、中学校または高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上または生活上の困難を克服し、自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的とする。

第81条
小学校、中学校、高等学校及び中等教育においては、次のいずれかに該当する児童及び生徒のために、特別支援学級を置くことができる。
一 知的障害者 二 肢体不自由者 三 身体虚弱 四 弱視者 五 難聴者
六 その他の障害のある者で、特別支援学級において教育を行なうのが適当なもの

・参考
学習障害(LD) Learning Disability
学習障害は、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算するまたは推論する能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示す。

注意欠陥多動性障害(ADHD) Attention-Deficit Hyperactivity Disorder
ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的活動や学業の機能に支障をきたす。

高機能自閉症
高機能自閉症は、3歳くらいまでに現れ、他人との社会的関係の形成に困難を持ち、言葉の発達の遅れ、興味・関心が狭く特定のものへのこだわりなどを特徴とする行動の障害である自閉症である。しかし知的発達の遅れを伴わないものをいう。

アスペルガー症候群は、知的発達の遅れを伴わず、かつ自閉症の特徴のうち、言葉の発達の遅れを伴わないものである。