2011年7月5日火曜日

教育時事の重要事項のまとめ

今日は『2012年度版鹿児島県の教職教養』のある項目をまとめます。
少し長いですが、挑戦。

1 教育課程(カリキュラム)の改革
「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」

1-1 「生きる力」という理念の共有
「生きる力」という目標を関係者で共有するにあたっては、特に次の3点を重視する。
 第一は、変化が激しく、未知の課題に試行錯誤しながらも対応することが求められる複雑で難しい時代を担う子どもたちにとって、将来の職業や生活を重視して、社会において自立的に生きるための力が「生きる力」だということ。
<中略>
 第二は、我が国の子どもたちの課題ともなっている思考力・判断力・表現力等をはぐくむには、各教科において基礎的・基本的な知識・技能をしっかりと習得させるとともに、観察・実験やレポートの作成、論述といった知識・技能を活用する学習活動を行なうこと。
<中略>
 第三は、自分に自信がもてず、自らの将来や人間関係に不安を抱えているといった子どもたちの現状を踏まえると、コミュニケーションや感性・情緒、知識活動の基盤である国語をはじめとした言語の能力の重視を図ること。また加えて体験活動の充実を図ることにより、他者・社会、自然・環境との関わりの中で、生きる自分に自信を持たせることが必要である。

1-2 小学校段階の外国語活動
小学校段階にふさわしい国際理解やコミュニケーション等活動を通じて、コミュニケーションへの積極的な態度を育成するとともに、言葉への自覚を促し、幅広い言語に関する能力や国際感覚の基盤を培うことを目的とするのが、小学校段階の外国語活動である。
現在、この活動については各学校で取り組みへの相当なばらつきがある。教育の機会均等や中学校への円滑な接続という観点から、国として各学校に共通の指導内容を示すことが必要になる。そこで総合的な時間とは別にして、高学年において年間35単位時間、週1コマ相当の一定時間を確保することとする。

2 学力向上
まずPISAとTIMSSとは何であるかおさらいする。

PISA (Programme for International Student Assessment)
OECDが行なっている国際的な生徒の学習到達度調査

TIMSS (Trends in International Mathematics and Science Study)
IEA(国際教育到達度評価学会)が行なっている国際数学・理科教育動向調査

「平成21年度 文部科学白書 (第2部、第2章)」
2-1 平成20年度調査の結果
 ・教科に関する調査結果
 全体としてみれば、19年度よりもやや難しい内容であったため、各教科の正答率は低い。しかし、小学校・中学校調査において、過去との同一問題の正答率が高いという点を考慮すると、昨年度より学力が低下しているとは思えない。

(i)知識に関する問題の結果
 小学校の国語A、中学校の数学Aにおいて、一部課題あり。
 また、小学校の算数A、中学校の国語Aに関しては、基礎・基本となる知識・技能をさらに身につけさせることが必要である。

(ii)活用に関する問題の結果
 小・中学校の国語A、算数・数学Bに関しては、知識・技能を活用する力に課題あり。

 ・児童生徒質問紙の結果
 算数・数学が好きな小中学生の割合は増加傾向にある。国語の勉強が好きな小学生、一日30分以上読書する小学生の割合はやや減少。学習に対する関心・意欲・態度、学習時間・読書、基本的生活習慣、自尊意識・規範意識などについて肯定的な回答をした小中学生ほど、正答率が高い傾向にある。
 また携帯電話やメールをほぼ毎日している小学生の割合はやや増加している。

 ・学校質問紙調査の結果
 (生徒たちが)熱意をもって勉強している、授業中の私語が少なく落ち着いている、考えを引き出したり思考を深めたりする指導をしている、学習規律の維持を徹底しているといった回答をしている学校の生徒の正答率の方が高い傾向にある。
 また小学校の約97%、中学校の約95%が19年度調査の結果を活用している。

 ・TIMSS 2007
 今回の調査での我が国の児童生徒の平均得点は、統計上の誤差を含め前回2003年調査と同程度であるが、小中学校の算数・数学、理科において前回以上の得点となっている。順位も、参加国が増える中、国際的に上位を維持している。これらのことから、前回指摘された学力低下には歯止めがかかったと思われる。
 その一方で、「勉強は楽しいと思う」子どもの割合が特に中学校で低いこと、「テレビやビデオを見る」時間は長く、「家の手伝いをする」時間が短いなど、学ぶ意欲や学習習慣に関しては、依然として課題が残る。

3 心の育成、問題行動への対応
「学校における携帯電話の取り扱いについて」
 
3-1 小学校及び中学校
 ・携帯電話は、学校での教育活動に直接必要なものではないので、小中学校においては、児童生徒の携帯電話の持ち込みについては、原則禁止である。
  ・緊急の連絡手段など、やむを得ない事情も想定され、保護者から学校長に対し、携帯電話の持ち込み許可を申請することも考えられる。このような場合、校内での使用禁止、登校後学校側が預かり下校前に返却するなど、学校の教育活動に支障のないように配慮する。

3-2 高等学校
 ・携帯電話は、学校の教育活動に直接関係のあるものではない。よって授業中の携帯電話の使用を禁止したり、学校内での携帯電話使用は一律禁止などの制限をするべきである。
 ・そもそも持ちこみを禁止することも考えられる。

4 心の育成、問題行動への対応
「問題行動を起こす児童生徒に対する指導について」
・生徒指導の充実について
 ・学校の日常的な生活において、児童生徒の一人一人を把握、性向について理解を深め、信頼関係を築き、すべての教育活動を通じてきめ細やかな指導を行なう。全教職員が一丸となり、積極的に教育相談やカウンセリングを行なう。

 ・校内において傷害事件などの犯罪が起こる可能性のある際には、警察の協力も得る。

・懲戒、体罰について
 ・教員は、必要があると思われる際は児童生徒に懲戒を与えることができ、その懲戒を通じて児童生徒の規範意識の育成を期待する。ただし懲戒が安易な判断によって行なわれることのないようにする。また日頃からの信頼関係づくりも重要である。

 ・体罰であるかないか機械的な判断は難しく、場合によっては指導へ対して萎縮してしまうこともある。ただし教員はいかなる場合においても、身体に対する侵害、肉体的苦痛を与える懲戒である体罰を行なってはならない。体罰による正常な倫理観育成は期待できず、むしろ児童生徒の力による解決の志向を助長し、いじめ・暴力行為などの土壌を生む可能性があるからである

5 学校評価
「学校評価のあり方と今後の推進方策について」
学校評価には次の3つの実施手法がある。

自己評価
目的:学校の教職員が設定した自らの達成状況や達成に向けた取り組み状況などを評価する。これにより、学校の現状と課題把握、今後の改善に活用することを目的とした、学校評価の最も基本的かつ重要なものである。

手法:校長の下、予め設定した具体的かつ明確な目標に全教職員が参加し、達成状況の確認や取り組みの適切さを評価する。

学校関係者評価(外部評価)
目的:学校の教職員以外で学校と密接な関係にある者が、上記自己評価の結果を評価することを通じて、学校と保護者で課題について共通理解を持ち、改善を目指していくもの。

手法:外部評価者に構成された委員会が、学校の教育活動の観察や意見交換を通じて評価する。

第三者評価
目的:学校と直接かかわりを持たない、大学や教育機関の職員、有識者からの評価を行うことで、自己評価・学校関係者評価では不足する部分を補い、学校運営の改善を促すことを目的とする。

手法:自己評価・学校関係者評価の結果等を資料として活用し、専門的・客観的立場から評価を行なう。

6 教員の専門性の向上
「今後の教員養成、免許制度のあり方について」
・教員に求められる資質能力
 ・いつの時代にも求められる資質能力
  教育者としての使命感、人間の成長・発達についての理解、幼児・児童・生徒に対する  教育的愛情、教科の専門知識、広い教養、そしてこれらを基盤とした実践的指導力。

 ・今後特に求められる資質能力
  地球的視野に立った行動、変化の時代を生き抜く社会人としての能力、教員の職務から  求められる能力。

 ・得意分野を持つ個性豊かな教員
  画一的な教員像を求めることは避け、生涯にわたり資質能力の向上を図るという前提のもと、全教員に求められる能力を確保し、積極的に得意分野づくりや個性の伸長を図ることが大切である。

7 キャリア教育の推進
「小・中・高等学校 キャリア教育推進の手引き 児童生徒一人一人の勤労観、職業観を育てるために」

7-1 キャリア発達とは
発達は生涯にわたる変化の過程で、人が環境に適応する能力を獲得していく過程である。その中でキャリア発達とは、自己の知的、身体的、情緒的、社会的な特徴を一人一人の生き方として統合していく過程である。
具体的には過去・現在・未来の自分を考え、社会の中で果たす役割や生き方を展望し、実現すること。
<中略>
一人一人のキャリア発達は知的・社会的発達とともに促される。そのため、まず一人一人の資質能力や態度は、段階を追って育成されるということを知っておかなければならない。児童生徒が将来必要としている資質能力や態度は、次の四つの能力とされている。それらは「人間関係形成能力」、「情報活用能力」、「意思決定能力、「将来設計能力」の四つのことで、児童生徒が成長の各時期において身につけることを期待されている能力、態度である。

7-2 キャリア教育の推進
学校の教育活動全体での取り組み
キャリア発達には、児童生徒のすべての教育活動が影響するため、キャリア教育は、学校すべての教育活動を通して推進されなければならない。これまでの進路指導中心の学校の取り組みでは、発達課題の達成に関する意識や観点が薄く、実践を通した指導方法の蓄積が少なかったりしたことなどから、取り組みの脈絡や関連性が乏しかった。その結果活動を寄せ集めたにすぎず、生徒の資質能力や態度の向上に結びついていなかった。こうした課題を克服するためには、教育課程の改善が不可欠である。
例えば、各教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間などの取り組みが、児童生徒のキャリア発達のために有機的に関連づけられているだろうか。また、具体的に活動計画が立てられ、全体で体系的な取り組みができているかどうか。あるいは、高等学校の各学科の類型やコースが、各学校の生徒のニーズに応じたものになっているか、など各学校で点検し見直す事柄もあると考えられる。

8 特別支援教育の進展
「特別支援教育を推進するための制度の在り方について」

8-1 特別支援教育の理念と基本的な考え方
これまでの「特殊教育」では、障害の種類や程度に応じて盲・聾・養護学校や特殊学級といった特別な場で、手厚くきめ細かい指導や教育を行なうことに重点を置いてきた。
「特別支援教育」とは、障害のある幼児児童生徒が自立し、社会参加できるように主体的な取り組みをする支援である。また現在、小・中学校において通常の学級に所属するLD・ADHD・高機能自閉症等の児童生徒への指導と対応が緊急の課題となっており、「特別支援教育」においては、このような児童生徒に対しても適切な指導と支援を行なう。
<中略>
このことは、従来の特殊教育が果たしてきた役割・実績というものを否定するのではなく、継承・発展させていこうというものである。

8-2 特別支援教育に関する法改正
学校教育法施行規則
第140条
小学校若しくは中学校又は中等教育学校の前期課程において、次のいずれかに該当する児童生徒で特別の措置が必要のある者を教育する際、特別の教育課程を講ずることができる。
一 言語障害者 二 自閉症者 三 情緒障害者 四 弱視者 五 難聴者 六 学習障害者
七 注意欠陥多動性障害者 八 その他の障害がある者で、特別の教育課程を必要とするもの

学校教育法
第72条
特別支援学校は、幼稚園、小学校、中学校または高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上または生活上の困難を克服し、自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的とする。

第81条
小学校、中学校、高等学校及び中等教育においては、次のいずれかに該当する児童及び生徒のために、特別支援学級を置くことができる。
一 知的障害者 二 肢体不自由者 三 身体虚弱 四 弱視者 五 難聴者
六 その他の障害のある者で、特別支援学級において教育を行なうのが適当なもの

・参考
学習障害(LD) Learning Disability
学習障害は、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算するまたは推論する能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示す。

注意欠陥多動性障害(ADHD) Attention-Deficit Hyperactivity Disorder
ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的活動や学業の機能に支障をきたす。

高機能自閉症
高機能自閉症は、3歳くらいまでに現れ、他人との社会的関係の形成に困難を持ち、言葉の発達の遅れ、興味・関心が狭く特定のものへのこだわりなどを特徴とする行動の障害である自閉症である。しかし知的発達の遅れを伴わないものをいう。

アスペルガー症候群は、知的発達の遅れを伴わず、かつ自閉症の特徴のうち、言葉の発達の遅れを伴わないものである。

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